博士の愛した数式(小川洋子) 新潮文庫

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 2006年1月に映画にもなるそうで、有名な小説。数学の教授だったが事故で脳に障害を負い新しい記憶が得られなくなった博士とその家政婦、そしてその息子の生活のお話。博士の語る数学のエレガントな世界、それを素直に受け入れていく家政婦と息子の様子が、やはりエレガントな文章に乗せて広がっていました。

 この本を読んだのは、今学期、記憶について扱っている心理学の講義を受けていて、博士と同じく新しい出来事を覚えられない、前向性健忘の実際の患者さんの映像を見たことがきっかけでした。

 数学の美しさが心地よくて、読みやすくて、好きでした。ただ、本当に前向性健忘の患者さんがこんなふうに新しい出会いを受け入れられるのか、なんてことを考えてしまうのは野暮なんでしょうか。